システムエンジニアの仕事には、他の仕事にはあまり見られない特徴がある。それは、持っている技術や専門知識を現実に応用して活かすという点と、それらを活かすにあたって、発想を押し付けるのではなくあくまで顧客の要望をくみ取り顧客が感じている課題を解決することをゴールとしているという点が、その仕事の中に共存しているということだ。
職能による分業で成り立っている他の仕事の場合は、ここまで広範囲に仕事を任されることは少ないであろう。メーカーに例えれば、開発設計から工場での製造工程、そして販売とアフターサービスまでを、システムエンジニアが単独で担当しているようなものだといえるかもしれない。ここにこの仕事のやりがいがあるといえるだろう。会社員の多くは、自分の仕事は会社の全体のほんの一部しか担当していない、会社の歯車になった気がする、会社の経営に参画できるような全体がわかる仕事がしたい、という不満や希望を持っていると言われている。そう考えると、全体を担当できるこの仕事の価値とやりがいをより強く感じることができるだろう。
もちろん、広範囲の仕事を任されるために問題が発生する可能性も増えるだろうし、技術的な問題から顧客という人間の問題までも扱うことは不安にもなるだろう。しかし、その不安はやりがいの裏返しでもあり、また、その人をさらに成長させる糧となるはずだ。不安を過度に感じないようにするといいだろう。